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結局、ショーンは夜になっても目を覚まさなかった。
呼吸はしているものの、まるで死んだように眠り続けている。
「うーん……大丈夫かな……」
だんだん弘海は心配になってきた。
ひょっとしたら、このまま目を覚まさないのではないか?
病院に連れて行ったほうが良いのではないか?
眠っている様子は特に息苦しそうな様子でもないので、病院に行くほどではないのかもしれない。
けれども、このままずっと目を覚まさなければ、何か重大な病気の可能性だってあるから、やっぱり病院に行ったほうが良いだろう。
「うーん……困ったな……明日は仕事だし……早出だし……うーん……」
弘海が本気で困っていると、眠っていたショーンの体がピクリと動いた。
「あ……起きた?」
ショーンは目を開け、気だるそうに頷いた。
まだ本調子ではなさそうだ。
「調子悪いなら寝てていいよ。目を覚まさなかったらどうしようって思ってたけど……それは大丈夫だった見たいだし」
「少しましになった……」
その声は掠れていて、とても頼りなく聞こえた。
「ショーンがそうなったのってさ……やっぱり昨日、不思議なことを2回もしてくれたのが原因なの?」
「そうだな……大丈夫だと思ったんだが、さすがにパワー不足だったようだ……」
「パワー不足?」
「魔法にはパワーを使う」
「パワーって……ご飯食べたり寝たりしたら回復するの?」
「それでも回復はするが……全回復するまでには一ヶ月ほどかかるな……」
「一ヶ月!?」
「もっとも効率の良い方法は……」
言いかけてショーンは弘海の顔を見、そして言うのをやめた。
「あれ? 言わないの? もっとも効率の良い方法は? 俺に何かできることがあるのなら協力するよ。言ってみて」
「本当に言ってもいいのか?」
「うん。いちおう……俺にも責任があるみたいだし……」
「セックス」
「は?」
「セックスをして精神レベルを高めることで、魔法を使うパワーが回復する」
「…………」
「本当に協力してくれるのか?」
「するわけないだろ!!!!」
弘海は思わず怒鳴った。
真面目にショーンの相手をしようと思ったのが間違いだった。
「そういう相手が欲しいなら、相手をしてくれるようなやつを探せよ!! 俺は絶対に無理だから!!!」
「無理か……残念だな」
「当たり前だろ!! セックスっていうのは、俺にとっては愛し合っている男女でするものだ!! 男同士なんて絶対にあり得ない!!」
男同士でセックスなんて弘海の概念にはあり得なかった。
考えただけで気持ち悪い。
「っていうか、今まではどうしてたの? パワーを補給する必要があるたびに適当に相手を探してヤッてたってわけ?」
「いや……自分の国にいるときは専用の相手がいた。成人まではだいたいそれで済ませる。だが、成人すれば、心から愛せる伴侶を自分で見つけなければならない」
「ふーん……専用の相手ねぇ」
弘海は冷たく相槌を打った。
ショーンの話が本当かどうかはともかくとして。
ショーンに魔力を充電するためだけにセックスをする相手……それは相手に対してもずいぶんと失礼な話だろう。
もしもショーンが女だったとして、同じ理由で自分を求めてきても、間違いなく断っているだろうと思う。
「ところで……ショーンっていくつなの?」
「19」
「ってことは、もう相手を見つけてないといけないんじゃないの?」
生真面目に弘海は心配した。
「そうなんだが……国では残念ながらそういう相手を見つけることが出来なかった。その相手を探すために諸国を放浪しているうちに……いつのまにかこの国へ来ていた……」
「ふうん……」
ショーンの話が事実だと仮定すれば、それは大変なことなのだろうと弘海は思う。
成人するまでに伴侶というやつを見つけることが出来なければ、ショーンは魔力を補給する手段を失ってしまうことになるのではないだろうか……。
「その……さ……まあ、ショーンの話が本当のことだったとして……万が一にも成人までにその伴侶が見つからなかったらどうなるの?」
「もし俺に兄弟がいたなら、兄弟の誰かが伴侶を見つけて国を継ぐことになるが……残念なことに俺には兄弟がいない……」
「ええ? ショーンってどこかの国の王子様!?」
「そうだが?」
「そうだが……って、まあいいよ、話を続けて……」
「国は次の国王を立てることが出来ず、隣国に統治をゆだねることになるだろうな……つまり属国になる。まあ、それがやつらの目的なんだろうが……」
「やつらって……もしかして、ショーンを襲った通り魔のこと?」
「そう。あれはたぶん、隣国……シュタフナー帝国の回し者だろう……襲われた時、そんな匂いがした」
「ショーンがその年齢まで伴侶を見つけることが出来なかったのも……そのシュ……なんとか帝国の陰謀?」
「それは俺が見つけることが出来なかっただけだ。そんなことは陰謀でどうにか出来るものではない。だが、必ずどこかにいるはずだと信じて、俺は旅に出た。そして見つけた……」
そう言って、ショーンはじっと弘海の目を見つめてくる。
「いやいやいやいや、俺は違うから!!! 頼むから他を当たってくれ!!!」
もしもショーンの言っていることがすべて本当だとしても、弘海には彼を受け入れる気持ちはまったくなかった。
「そ、そういうことなんだったらさ……怪我が治ったら、その伴侶とやらを探しに出かけたほうがいいんじゃないかな……国の人たちだって困るだろうし……」
「お前以外には考えられない」
「でも俺……マジでその気持ちには応えられないと思う……もしも奇跡が起きて応えられるようなことがあったとしても……たぶん、ショーンの成人の誕生日までには間に合わないよ……」
「その点は心配要らない。時の魔法を使えば、何十年でも何百年でも待つことが出来る。成人までに俺が伴侶を見つけることが出来るかどうかが問題だったんだ」
ショーンはそう言って弘海を見つめ、嬉しそうに微笑んだ。
「あ、あの……何百年とか俺生きてないし……それに、どんなに待ってもらっても無理だと思うから」
「大丈夫だ。俺は気が長い」
「…………」
弘海は何も言う気がなくなった。
ため息をつき、さっさと夕食を済ませて寝ようと思ったとき、ショーンがピクリと何かに反応した。
「どうかしたの?」
「魔力を使いたくなかったが……近くに気配を感じる」
「え? 気配って、通り魔の!?」
「使い魔のほうだ。もう一度猫になる。動物になれば、相手は気配を読めなくなるから」
「え?」
弘海が聞き返す間もなくショーンの姿が消えた。
「消えた!?」
弘海は驚いて目を見張った。
消えたその跡にいたのは、黒猫だった。




あけましておめでとうございます!
遅くなりましたが、新年初更新なんとか無事に出来ました(笑)
本年もどうぞよろしくお願いいたします。

日生桔梗



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EDIT [2012/01/01 17:24] 猫目石のコンパス Comment:0
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