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キスは執拗に続いていた。熱のある悠樹の体は、まるで夢の世界にでもいるかのようなふわふわとした状態だった。
漣はたまに唇を離したかと思うと、唇の周りの唾液をなめ取ったり、頬や首筋に舌を這わせたりしてくる。そしてまた、思い出したかのように、悠樹の唇に貪りついてくるのだった。
漣の手が、悠樹の両足の合間をまさぐり始めたとき、悠樹は明日も大学にはいけないな、と覚悟を決めた。
パジャマの上から何度もなぞるように一物を撫でられると、別に欲求不満でもないのに生理的な反応をしてしまい、そこが熱く硬くなってくるのを感じた。
「興奮してるのか?」
無理やりに興奮さておいたくせに、そんなことを漣は聞いてくる。
「してるんじゃないかな……」
まるで他人事のように、悠樹は答えた。
体は生理的反応を示しているものの、気持ちは驚くほどに冷めているのを感じていた。
ふいに、漣の手の動きが止まる。
思わずその顔を見上げると、漣は何を思っているか解らないような表情のない顔で悠樹を見つめていた。
「熱が下がったら部屋に来い」
命じるようにそう言って、漣は体を離した。
てっきり最後までされるものだと覚悟していただけに、悠樹は少し拍子抜けした。ホッとした気持ちがあったのも事実だが。
漣はベッドから立ち上がって、悠樹に視線を向ける。
「今日は帰る。合鍵はあるだろ?それで部屋に入ってろ」
「うん……持ってるけど……」
「熱が下がったら、すぐだ。明日熱が下がったら、明日だ。大学の帰りにでも寄れ」
「わかった……」
頷きながら悠樹は思う。さっさと返そうと思っていた合鍵を返すことは、どうやら出来ないようだった。
「じゃあな」
そう告げて、漣は部屋を出て行った。



漣が去った部屋の中で、まるで気が抜けたように悠樹はベッドに突っ伏した。
まだ体のあちこちに、漣が触れた感触が残っている。
特に唇には濃厚な口付けの感触が、生々しく残っていた。
どうして漣は手を止めたのだろう。
中途半端に放り出された体は、戸惑いを感じているようだった。
悠樹は抵抗したわけでもなかったし、最後までされるのなら、受け入れるつもりだった。
結果としてはこれで良かったと思うものの、漣の態度はどことなく腑に落ちなかった。
「とりあえず、明日は大学に行かないと……」
このまま何事もなく休むことが出来れば、何とか明日には大学へ行けるだろう。
「でも……漣兄さんのところにも行かないと駄目なのか……」
そう考えて一気に気が重くなる。大学はこれ以上休むわけにはいかないし、かといって熱が下がって大学へ行っているのに、漣のところへ行かなければいろいろとまた厄介なことになるだろう。
たぶん、今日解放してくれたのは熱を気遣ってのことだろうし、明日熱が下がって漣のところへ行けば、容赦なく最後までされてしまうのに違いない。
ふと窓の外を見ると、もうずいぶんと陽が傾いていた。
「もう夕方か……」
とりあえず、眠って体力を回復させよう。ついでに気力も回復させよう。そう考えて、悠樹は目を閉じた。



次に悠樹が目覚めたのは、外がすっかり暗くなってからだった。
目を開けると、そこに父親である信樹の姿があった。
漣からの融資が決まって、ついこの間までの険しい顔が少し和らいだような気がする。
「父さん……お帰りなさい」
「ただいま。熱はまだ下がらないのか?」
「うん……? だいぶ楽になったみたい」
気がつくと、寝汗もずいぶんとかいていたみたいで、夕方よりもずいぶん楽になっていた。
「明日には大学に行けそうだよ」
「そうか、それは良かった」
信樹はそう言って、優しく微笑む。悠樹はこの父が大好きだった。漣が融資をしてくれて本当に良かったと、父の笑う顔を見ながら悠樹は改めて思った。
自分の意思に反するようなことを強要されてはいるけれども、やはり漣には感謝しなくてはいけないのかもしれない……。
「会社のほうも心配かけたな。漣くんのおかげで、何とか落ち着きそうだ」
「そっか……良かった……」
「それはそうと、卒業したら漣くんの会社に行きたいんだって?」
「は?」
父の思わぬ言葉に、悠樹は思わずその顔を見返した。
「そんな顔をしなくても大丈夫だよ。私は最終的には会社を継いで欲しいとは思っているが、その過程で漣くんのところで勉強するのは、お前のためにもなると思うし。父さんは賛成だ」
「え、いや、あの……」
いったい何の話だ……そう言いたかったが、まったく話が見えなさ過ぎて、言葉を挟むことも出来ない。
「アメリカでは大学に通いながら事業を起こしたり、それを手伝ったりすることが普通なんだろう。お前も在学中から漣くんのようなしっかりとした企業家について勉強するといいかもしれないな」
「え、ええと……」
「そういうわけで、漣くんのマンションで厄介になることも、父さんは反対しないよ。母さんは寂しがるだろうが、その辺りは私がちゃんと話をつけておくよ」
「…………」
「お前には、私のような失敗はして欲しくないからな。漣くんから経営者として必要なことをしっかりと学んでくるんだ。そうだな……大学一年からそういう機会に恵まれるのは、本当にラッキーだと父さんは思うよ」
「え、えと……父さん、俺は……」
「さあ、明日は大学に行くんだろう?これを食べて薬を飲んだら今日はもう寝なさい」
信樹はそう言って、サイドテーブルに悠樹のための食事と薬を置いて部屋を出て行った。
「何……考えてるんだ……」
すべてをちゃんと受け入れていこうと思っていた。父の会社への融資と引き換えに、自分が漣の恋人になると選んだことも。そしてそれに伴って、彼と体の関係を持たなければならないことも。
しかし……。
「ちょっと勝手に決めすぎだろ……」
先ほど漣に感謝しようと思ったことは、すぐに取り消そうと思った。
さすがに悠樹は怒りが沸いてくるのを感じる。しかし、怒りはすぐに呆れに変わり、そして諦めに変わった。
「とりあえず……明日ちゃんと話そう……いちおう俺の意思も伝えないと……」
たぶんそんな意思は聞いてはもらえない可能性が限りなく高いけれども。



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EDIT [2011/06/28 16:04] Breath <1> Comment:0
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